~第2部 意見交換会~ 開催
2025 年 11 月 30 日(日)、JICA 地球ひろばにおいて「第46 回日本定住難民とのつどい」を開催しました。
第 2 部では、「第 5 回 難民定住者との意見交換会」を実施し、昨年に続くテーマ「難民コミュニティと地域コミュニティとの関わり合い Vol.2」を掲げました。難民コミュニティ、難民支援団体、自治体など、合計38 名の参加者が集い、「防災」「子どもの教育」「居場所づくり」の 3 つの小テーマに分かれて活発な意見交換を行いました。ファシリテーターは、NPO 法人多文化共生マネージャー全国協議会 代表理事の土井佳彦さんに務めていただきました。
冒頭では、財団とともに企画を担当した実行委員の Nguyen Ha Kien Quocさん、マリップ センブ さん、Suzan Husseini さんの 3 名が登壇し、各小テーマの概要や、このテーマを取り上げる意義について、自身の経験やコミュニティの課題感を踏まえて丁寧に紹介しました。緊張しつつも、3 名が自分の言葉で語る姿に、会場からは温かい共感の空気が広がりました。

続くグループディスカッションでは、7 グループに分かれて意見交換を実施しました。会場後方のオブザーバーもときどき議論に加わりながら、終始リラックスした雰囲気で対話が進み、約 40 分間の話し合いの後、各グループから議論の内容が共有されました。発表の主なポイントは以下のとおりです。(ご本人たちの発言のまま掲載しています。)
代表発表者 Mi Thet Thet Sanさん(難民連携委員会RCCJ)
アベベ サレシラシェ アマレさん(アディアベバ・エチオピア協会) 防災訓練は、命にかかわるのでみんなに影響する重要なテーマ。難民は若い人が多い。彼らの力がまわりの高齢者や子どもを助けられる大切な人材になる。周りの人と協力するために横繋がりを作りたい。外国人、行政、地域の人と一緒に防災意識を通して地域の一員という意識を作っていきたい。防災訓練だけではなく、飲んだり食べたりといった交流会をし、その後の継続的なつながりを作ることをしているグループもある。
課題は、どのように参加を促していけるのかというと、コミュニティの力を使ってその先の外国の方と地域の個人とが繋がることができるかである。行政の防災情報の通知の仕組みを考えることも課題である。難民の2世代3世代と若い外国の方が多いところでは地域の主力にもなれる。
代表発表者 櫻本 まり子さん(新宿区 地域振興部 多文化共生推進課)
自治会の中での失敗談と成功談の話で能登の災害支援について話をした。自治会の防災訓練には外国人に「参加者」として来てもらうことはあったが、当事者意識がなく、スタッフとして準備や企画への参画が難しかった対策として考えたのは、自治会が住民の外国の人と飲みにケーションを行い関係性を築いた。団地で花火大会や多言語放送など行った。しかしこの後が続かないのが課題。能登への支援は、外国人の課題を押さえられていなくて支援はしたくてもなかなか繋がらなかった。
今後何が必要かというと、遠くの外国人より近くの外国人コミュニティと顔の見える関係を築く。外国人のキーパーソンをみつけて、地域のつながりを広げていく。子どものころからの防災教育が大事で、外国ルーツの子どもたちが学校で教わったことを、外国人の親に伝達して、親が重要性に気づき、家族で地域と繋がっていくことが大切だと気づいた。ただしどれもこれも簡単には解決できないこと。大きな課題であることを認識した。
代表発表者 シュレスタ ブパール マンさん(日本外国人協会)
ミャンマー、シリア、ネパール、ベトナム、日本のルーツのメンバー。ミャンマーでは子どもの宿題サポートをすることで、親と子の言語ギャップを少なくするために実行をしている。ベトナムの団体は、群馬県内のベトナムからの実習生や労働者の家族に日本語を教える教室を行う。ネパールは母国語で、国のカリキュラムで学べる学校、教育活動を行っている。
このように地域で教育活動をやってよかったことは、活動の信頼度があがり、地域でバザーをしたり、ボランティアとして活動に入る学生が増えたこと。楽しくやっています。課題は、子どもは日本の公立校には日本語サポートがあるが、ボランティアの高齢化により人数が少なくなっている。一方子どもは増えているの
で対策や取り組みは必要。このあたりの課題の解決の為に色々なステークホルダーが話を続けていかなければならないと認識した。
代表発表者 春成 カディージャさん(Harmony Sisters Network)
難民当事者の年齢層に合わせてどのような課題に直面しているか、それに合わせてどのような活動をしているか。それに合わせて、良かったこと・悪かったこと・課題・どのような支援が必要かを話し合った。
ロヒンギャの子どもたち学習支援では、根っこにある課題は家族・家庭なので、お母さんたち親への学習支援や制度への理解をもってもらう支援も必要である。お母さんへの教育により家庭内の教育に繋がる。カンボジアの団体も、大人になって来日した難民の当事者は日本語がわからず生活や仕事でつらい思いをしている状況にある。
18歳、19歳で来日した子どもは、日本語の問題や学費の問題で進学が難しいことが課題と認識している。子ども、大人問わず、生活のための日本語教育は無料でできるように願っている。
代表発表者 金澤 伶さん(EmPATHy)
オンライン教育支援をしている団体では、親御さんや家庭への巻き込みが弱くなるので、同時にお子さんの学習が進まない課題。これはDグループの意見と関連している。家庭に取り残されやすい母親の日本語力、日本社会への理解・適応の格差が広がっている。学校側も、難民的背景者の理解が不十分な状態が続く。特別のニーズが必要な子どもの支援は学校の先生の裁量に任される。それを平均化していく課題を認識した。
カンボジアコミュニティ等からは、子どもは母語は聞いたらわかるけど話せない。親とのコミュニケーションが取れない。日本語ができない親の通訳を担うヤングケアラー状態になるなどの課題がある。
難民コミュニティで、教育現場でシリアの文化体験に取り組み、分断を埋めるという作業を行っている。カンボジアコミュニティは、子に文化や母語を知ってもらうために、カラオケなどたのしいアプローチで母語や文化への入り口を広げることをしている。それでもアイデンティティの継承は困難を抱える。家庭の巻き込みを含め、地域全体で取り組むことが必要と一致した。
代表発表者 藤井 優花さん(Welcome Japan)
江藤 セデカさん(イーグル・アフガン復興協会)
前半は難民ルーツの外国人の生活のサポートに関しての課題感言葉の壁、宗教、習慣の問題。先日難民認定を受けたアフガニスタン女性のケース紹介した。アフガニスタン女性のための日本語学校で、女性たちが安心して信頼ができる場所ができている。ここが生活相談を聞く場にもなっている。文化的にアフガン女性は男性には相談できない。日本社会で居心地よくいるためには相手(日本人)が自分の文化を理解していることも大切である。10人に1.5人が外国人の戸山ハイツ団地での課題感としては、子ども同士の交流が親世代の偏見が減っていく。子どもたちの繋がりって必要だよねとグループで共感が生まれた。言語サポートとして、行政の無料支援を受けられないか。
代表発表者 イェブトゥシュク イーゴルさん( 日本ウクライナ友好協会KRAIANY)
居場所の定義として、物理的な集まる場所とコミュニティとしての心休まる居場所という意味を分けて考えた。
イスラム女性は、国を離れる人が多く、ふるさとである国の文化を日本の人に伝える場が居心地の良い場であるのでそのような文化交流活動を行っている。ウクライナはシェアスペースで学校を開くために場所を借りている。三鷹でカフェはあるが場所は小さくてアクセスがしづらい。
神奈川県内には市の協力を得た国際交流ラウンジがある。日本側が働きかけて作った場所が外国人にとって居場所になるかを改めて考えたい。戦争などを経験したコミュニティにとっては自力でそういった居場所を作るのは不可能なので、政府や市町村も力を貸してほしい。本当の意味で居場所になるものが増えればいいなと思っている。

●意見交換会グループディスカッション参加者の事後アンケート(一部抜粋)
・多様な背景の方と率直な意見交換ができた。その中で、お互いの共通点も見えてきた。
・難民当事者の発信力が上がっていることを実感しました。
・意見交換会の後に、具体的な協力方法を検討するためのフォローアップがあると、単発のイベントで終わらず、より実効性のある連携につながると思います。
・自治会で共通することが多々あって非常に参考になりました。共生には、共有する何か具体的な行動が大切かと感じました。
・事前の情報交換ができれば当日さらに踏み込んだ交流が出来たと考えます。
いただいたアンケートからは、多くの方がこの意見交換会を自分ごととして受け止め、より良い会へと発展してほしいという期待の声も寄せられ、参加者の皆さまの関心と熱意を強く感じる結果となりました。
最後の第 3 部では、意見交換会の参加者や観覧者同士がつながる場として「交流会」を開催しました。会場は終始和やかな雰囲気に包まれ、参加者同士が積極的に交流を深める盛会となりました。
今後もこのような機会づくりを難民当事者の方とともに考えていきます。
以下、クリックしてご覧ください。

交流会でつながる参加者たち 意見交換会前のアイスブレイク
当日の様子は、YouTube(☜こちらをクリック)をご覧ください。



