「第 41 回日本定住難民とのつどい」の開催

投稿日: カテゴリー: solidarity

アジア福祉教育財団は、新宿区との共催で、2020年11 月 15 日(日)に新宿文化センターにおいて「第 41 回日本定住難民とのつどい」を開催しました。

 

財団では、新型コロナ感染症の流行によって多くの難民定住者や関係者の方々が経済的に大きな被害を被っていることから、「つどい」は開催を見合わせることを考えておりました。しかし、難民定住者のコミュニティから、「みんな年に一度の『つどい』を楽しみにしている。困難な時であるからこそ、励ましのために『つどい』を開催して欲しい」との要望があり、これを踏まえて、例年よりも規模を大幅に縮小し、コロナの感染予防にも万全の備えを行ったうえで開催した次第です。

 

プログラムは、難民定住者の方々の要望に基づき、従来の民族舞踊や歌などは取り止め、その代わりに各難民コミュニティとの意見交換会を開催することにしました。この意見交換会には、当財団とお付き合いの深いベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーなどの8つの難民団体が、また、日本側からは、当財団、新宿区の他、4つの難民支援NGOが参加しました。

 

 難民団体

 ・日本在住ベトナム人協会

 ・在日ベトナムカトリック共同体

 ・群馬県カトリック伊勢崎教会付属ベトナム人コミュニティ

 ・在日本ラオス協会

 ・在日カンボジアコミュニティ

 ・PEACE(ミャンマー少数民族友好団体)

 ・在日ビルマ・ロヒンギャ協会

 ・第三国定住難民

 

 日本側NGO

 ・かながわ難民定住援助協会

 ・国際日本語普及協会

 ・日本国際社会事業団

 ・PEACE

 

このような形での意見交換会が行われるのは初めてのことです。会場の都合上、参加できない政府関係者や国際機関、NGO の方々には、その模様をモニター画面でご覧いただきました。

 

意見交換会では、それぞれの難民定住者のコミュニティから、生活ぶりや直面する問題をご紹介いただき、彼らが更に暮らしやすい環境を作るために何をするべきか、様々な論点について意見交換を行いました。特に難民定住者の子弟の教育や、墓地を如何に確保するかが各コミュニティ共通の課題であることが明らかになりました。参加した多くの難民定住者が活発に発言し、相互理解と今後の協力を考えていくうえで、非常に有益な意見交換会となりました。

 

日本在住ベトナム人協会によるプレゼン           PEACEによるプレゼン

 

在日ビルマ・ロヒンギャ協会によるプレゼン         第三国定住難民によるプレゼン

 

続く表彰式典では、当財団の藤原理事長、新宿区の吉住区長による挨拶の後、外務省の山田総合外交政策局長、出入国在留管理庁の本針難民認定室長、UNHCR 駐日事務所ファルカス代表による祝辞がありました。また、菅内閣総理大臣ほかからの祝辞が披露されました。

次に、表彰式が行われ、埼玉県春日部市で難民定住者のための日本語教室の運営に尽力された仙部(せんぶ)孝一さんに感謝状と記念品が贈呈されました。

また、難民コミュニティで同胞支援などに尽力している以下の難民定住者に対して、表彰状が贈られました。

 

・Nguyen Ha Kien Quocさん(ベトナム)

・今井明子さん(ラオス)

・ケマリン・ダーディさん(カンボジア)

・Saw Ba Hla Theinさん(ミャンマー)

 

アジア福祉教育財団としては、今後とも、難民定住者の皆さまとの相互理解を深め、暮らしやすい環境を整えていく努力を続けていく所存であります。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

 

【受賞者の紹介】

支援協力者 仙部孝一さん

2014年春に第三国定住難民第4陣が埼玉県春日部市に定住を開始して以降、現地の日本語コーディネーターとして日本語教室の運営に尽力してきた。同教室では日本語指導に留まらず、難民一人ひとりの生活や就労・就学の状況の把握につとめ、個別の相談対応を行い、各家庭における問題解決にも協力してきた。日本語学習面では運転免許の取得や転職、子弟の学校関係の手続きなど、個々人のニーズに見合った学習内容を工夫し、実生活に必要とされる支援を続けるなど、真摯な対応に全幅の信頼が寄せられ、最近では教室の評判を聞いた学習希望者が遠く離れた地域から通うほど支援の広がりを見せている。

2019年12月には、埼玉県に在住するミャンマーのカレン族からの要望を受け、新年を祝う「Karen New Year」を初めて企画し、県内のみならず東京や千葉などに在住する300名強が集まり、地域住民との文化交流を行った。2020年春にはコロナ禍の影響を受けて同教室も一時休会していたが、学習者からの再開を望む声に応え、オンラインでの学習を開始した。現在は毎週日曜日に対面の教室を開く一方、仕事の都合や健康上の理由などで教室に通えない人に向けてSNSを使った情報発信や相談を行い、難民の居場所として大きな役割を果たしている。 

 

模範難民定住者 Nguyen Ha Kien Quocさん

難民二世として日本国内で生まれた。 7年間に及ぶ通訳としての活動は実績があり、通訳内容は多岐にわたり、現在は法テラスや日本弁護士会からの委託業務にも携わっている。

また、幼少期より地域行事にも参加しており、日本社会とベトナム人コミュニティの架け橋として、相互理解の促進ために尽力している。

さらに、NPO法人日本在住ベトナム人協会の役員に就任し、強い責任感を持って在日ベトナム人が抱える諸問題の解決に取り組んでおり、同協会内の若者の中心的存在として人望も厚い。

 

模範難民定住者 今井明子さん

1985年にインドシナ難民として定住を許可され日本に入国。1986年5月に大和定住促進センター(神奈川県)を退所後、茨城県内で農園を経営し、農産物の栽培を行っている。

農園ではパクチーなどをはじめとする様々な東南アジア特有の野菜類を栽培、販売している。また、タイなどの外国人コミュニティから積極的に人を雇用もするとともに、ラオス人にもなじみ深い農作物を提供するなど、周囲から高い評価を得ている。

 

模範難民定住者 ケマリン・ダーディさん

両親は、30年前にカンボジア難民として来日し、大和定住促進センター(神奈川県)で日本語などを学んだ。本人はカンボジアで生まれ、2001年に家族呼び寄せにより17歳で来日し、定時制高校に中途入学して勉学に勤しむ。2011年からはバンボデー、トレーラ、コンテナなど各種輸送用機器の製造や販売を行う日本フルハーフ株式会社に勤務し、溶接等の仕事に携わる。何事にも真面目で、真摯に仕事に取り組む姿勢は、上司や同僚の信頼も厚い。2016年からは在日カンボジアコミュニティ(CCJ)の活動に参加し、カンボジア難民定住者のおかれた問題の解決や、子ども達へのカンボジア文化の継承に力を入れている。去年からはCCJの副理事長を務め、得意なIT技術を駆使し、コミュニティの運営に尽力している。

 

模範難民定住者 Saw Ba Hla Theinさん

2010年より開始された第三国定住難民受け入れ計画の第1陣として初めてカレン難民が来日した際に、自らもカレン民族であり、在日歴の長い先輩難民として手伝いたいと志願し、通訳兼アドバイザーとして活躍した。難民事業本部が充分承知していなかったカレン難民の文化、習慣などを補い、また、カレン難民5世帯27名が6か月間の定住支援プログラムを無事に終了することの手助けを行った。 第1陣が三重県や千葉県に移転した後も、就労面では雇用事業所、生活面では市役所、子供の教育面では学校や教育委員会と連携し、無償で通訳に協力するなど支援を継続してきた。 特に、三重県に定住した家族が、遠隔地のため教会に通えないということを知り、休みを返上し、自費で足を運び、カレン語による聖書の朗読や賛美歌を歌う活動を6年に亘り行い、当該家族の心の支えとなった。 現在も、在日カレン民族連盟(KNL)の幹部として、カレンニューイヤーなどの開催や様々な催しに携わり、新たに来日した第三国定住難民を行事に招待して交流に尽力しているほか、NPO法人PEACE(ミャンマー少数民族支援団体)の副理事長として在日ミャンマー難民全体の福利と自立のための活動に取り組んでいる。